砂浜おじさん2

 「あんたあの〜なんだな、釣り番組出てる女の子、あの子すごいけどあんたもすごいよな〜。素人じゃねえな。」

 去年、大磯海岸で弓角をブンブン投げていたら、ゴルフクラブをブンブン振り回している(めちゃめちゃ怖かった)おじさんに捕まった。 そしておじさんは我々に「それじゃだめだ!」「こうしな!」と勝手にコーチングし始めた。 しかもおじさんは全然釣り道具を持ってない。持っているのはゴルフクラブのみ。釣りはしないんですか?と聞くと、近所に住んでいて以前は毎日投げキスや弓角をしていたが、釣り仲間が最近減ってしまい面白くないからやらないとのこと。「まさか私を釣り仲間にして復帰するつもりか?」不安がよぎる。しゃべりすぎる釣り仲間は好きではない。こちらが釣りにならないからだ。しかもゴルフクラブ振り回しながら浜をウロウロしている人って・・・

 おじさんは投げキス派らしく、角を投げている私と相棒に円心投法を強要する。怖いのでしかたなく二人でやってみて見事に仕掛けがPEごとぶっちぎれる。おじさんは「タイミングが悪いんだ!」と鬼コーチの気分になっている。あ〜あ、今までで一番やっかいな人につかまっちまったよ・・・。

 おじさんはゴルフクラブを持ってはいるが素振りするわけでもなく適当にぶん回している。なんでゴルフクラブを持っているのか聞くと「最近の若者はおっかねえから、護身用だ。」という返事。大丈夫。絶対、誰もあなたにはちょっかい出さないよ。

 適当に相づちウチながらそれでも一生懸命に角を投げていると、おじさんが「おい!あそこだ!ナブラ出てるぞ!」と叫ぶ。本当だ、ナブラだ!それまで邪魔されている感が強くちょっと不機嫌だった私は急に元気になった。そしておじさんはあちらこちらにナブラを発見しては知らせに来る。その目の良さにだんだん感心し始めていた。

 「ナブラ見つけるの早いですね〜。」
 「あったりまえだよ。ここに子供の頃からいるんだよ。」

 しばしナブララッシュの後、また海が静になった。おじさんは結局、私と相棒が撤収するまでず〜っと勝手に話しまくりのアドバイスしまくり。「じゃあ、私たちこれで帰ります。さようなら!」というと、「おれは毎朝ここ散歩してっからまた会うな!」と・・・釣りの度にこんなに話しかけられたら釣れるモノも釣れない!結局その日は丸坊主。そのおじさんが怖くてしばらく他の浜へ通ってしまった小心者の私であった・・・。
おやじ

2003.7.5
mami

砂浜おじさん

 タイトル変ですね。あんまり気にしないでください。

 去年の4月から秋口まで、砂浜の投げ釣りにはまっていました。シロギスの遠投釣りとサーフトローリングです。最初はシロギス釣りをしていたのですが、このとき買いそろえた道具は3980円のリールと7800円の竿。相棒に「そのリールはいくらなんでも安物すぎないか?」と言われました。でも当時は(っていってもそんなに昔じゃないなあ)釣具に出せる予算は気持ち的にこの程度だったわけです。

 で、一生懸命、遠投の練習をしてました。ジェット天秤の号数もあれこれ試して毎回毎回フルキャスト!

 しかし、全然飛ばない。

 シロギスは足で釣れってよく聞くように、投げ釣り師は砂浜の端から端を行ったり来たりしています。私と相棒は不精者です。釣具以外にジュースやお弁当、おやつなんかを山ほど持っていて身軽じゃないのでずーっと同じ場所で釣ってました。だから同じ人が我々をちらっと見て通り過ぎていくわけです。二〜三回通り過ぎていたおじさんが(見たところもうご隠居さん)「シロギス釣ってるの?」と声を掛けてきました。「はい。でも全然飛ばなくて釣れないんです。」「どれどれ・・・これじゃあ誰が投げても飛ばないよ。」「道具のせいですか・・・。」「あっちのひとなんて竿とリール、あわせて20万円するの使ってるよ。」

 「・・・・・・え?」

 知らなかったんです。キスの投げ釣りを。恐ろしい世界でした。飛距離に命とお金をかけまくる世界。めん玉飛び出ました。よくよく周りを見てみれば、みんな投げる前にグルグル回ってるし、投げた後にピシッと固まって動かないし、今までの釣りと勝手が違いすぎる!

 その後も浜へ行くたびに様々な砂浜おじさんが話しかけてきました。その度におじさんの手元の道具を見てギョッとする日々。みなさん、毎日のように技に磨きを掛けに来ているそうですがとにかく超高級タックルのオンパレード。ああ釣り馬鹿は恐ろしい。

 でも、あんまりにも飛ばないので相棒と二人で考え抜いて、中ランクの並継ぎ竿とリールを買いました。そうしたら二人とも一気に飛距離がアップしたではないですか!!!そして念願の二桁釣果を記録しました。

 その道具を次に堤防の投げ釣りに持参。すると隣のおじさんがリールを見て「ずいぶん良さそうな道具ですねえ。釣れますか?」とのぞき込んできました。うふっ。実はイシモチ釣れました、と言うと「良いなあ、おれは何にも釣れないよ〜。」と羨望のまなざし(気のせい?)。堤防では必ずしも遠投は必要でないんですけどね。その時はたまたまえらい遠くへぶん投げて探ってきたらイシモチが釣れたんです。

 「高い道具」=「釣れる道具」と私の頭にインプットされるきっかけが、砂浜おじさんたちのお道具でした・・・。
銭がもの言うシロギス道

2003.6.16